襖(ふすま)のへこみの直し方
「襖のへこみを直せるかどうか?」というお問い合わせをいただくことがあります。
実際は状況を観させていただくことで確実な回答ができますが、一部分だけへこんでいる状態であれば、中身が「ダンボール襖・スチロール襖」である可能性が高いです。
直すことは不可能ではありませんが、ダン襖は原則使い捨ての物として量産されているので、不具合があったら新調をお勧めしています。
理由については順を追って説明したいと思います。
「ふすまがへこむ」という状態
「ふすまがへこんだ」というお問い合わせがあった場合、まず考えるのは「破れてへこんでいるのか」「破れずにへこんでいるのか」ということです。
ふすま紙の性質について
ふすま紙は「紙」なので、通常は強い衝撃があるとまず破れます。
破れていて、内部に問題がなければ、見栄えの問題はありますが補修シールを使用する。
見映えが気になるなら一面ごと張替えることをお勧めします。
破れずにへこんでいるとしたら?
衝撃時にへこんだとしても、紙の性質として伸び縮みをするので、少々のへこみなら少し時間が経つと戻ることがほとんどです。
紙が破れていないのにへこみが直らない場合は、内部がへこんでいる可能性があります。
ふすまの内部について考える
ふすまの内部の構造で種類を分けるとすると、和襖(わぶすま)、戸襖(とぶすま)、ダンボール襖・スチロール襖 があります。
詳しい説明は以下の記事をご参照ください。
和襖の場合
内部が障子の桟のような状態なので、衝撃があると内部の桟が折れ、へこむというより片側が出っ張る可能性があります。
桟を補修し、内部の紙とふすま紙を張り直せば完了です。
戸襖の場合
内部の材質はベニヤ板です。ベニヤ板がへこむほどの衝撃であれば、まず表側のふすま紙が破れている可能性が高く、板なので一部分がへこむ状態は考えにくいです。
一部分だけ穴が開くということは考えられますが、そこまでだとふすま紙は破れていると考えられます。
補修が可能な状態であればベニヤ板の補修をして、ふすま紙を張り替えれば完了です。
穴が開いてしまった、ベニヤ板がひどく傷んでいる状態なら、新調をおすすめします。
(ベニヤ板を交換することも可能です。状態を専門の業者に見てもらい、アドバイスを求めたほうがいいと考えます)
ダンボール襖・スチロール襖の場合
少しの衝撃で表面の紙が破れずにへこむ可能性は考えられます。
ブログ記事『襖(ふすま)がボロボロ…|張替えの目安を張替え職人がお伝えします』に書きましたが、ダン襖・スチロール襖は量産するために作られた襖なので、原則張替えて使うことを想定していません。
不具合があったら新調をおすすめします。
賃貸住宅に使われていることが多いため、へこみについてのご相談がある時は退去時が多いです。その際は状態を見させていただきますが上記の説明をして、新調をご案内することが多いです。
まとめ
「ふすまのへこみ」というご相談でも、お客様と専門の張替え業者とではイメージが違う場合があります。
今回は、これまでの張替え経験から想定できることを書きました。
・破れずにへこんでしまった場合、一部分だけへこんでしまった場合はダンボール襖・スチロール襖が多い。
・内部が破損している可能性が高いので、不具合があったら新調をお勧めします。