襖(ふすま)がボロボロ…|張替えの目安を張替え職人がお伝えします
築年数が長いお宅になると、時々「うちのふすまボロボロなんだけど、張替えてもらえる?」という問い合わせをいただきます。
当方としては「まずはどのような状態かを見てみないと何とも言えないので、まずは伺って状態を確認させてください。」とお答えしています。
襖の状況を見た上で「張替えるのか?」「新調するのか?」「ふすまをやめてフラッシュ戸※1にするのか?」などを相談の上決めていただきます。
※1 フラッシュ戸…框と桟で作った骨組みの両面に、合板などの面材を接着し、表面を平らに仕上げた戸(ドア)のこと。 フラッシュ(flush)とは「平面の、平らな」などの意味を持つ英語。
ご予算との兼ね合いや、【あとどれくらい住むか?】【どのような状態を望むのか?】が話し合う中で見えてくると、お客様によって「仕上がりが多少悪くなるのは許容するから、このまま張り替える」とか「きれいにしたいから新調する」などそれぞれの答えが出ます。
ふすまや障子の大きさもそうですが、お客様のおっしゃる状況と張り替え職人側からの判断は違うことがよくあります。お客様が大丈夫だと思っていても張替がむずかしい状態、逆に使い物にならないと思っていても問題なく張り替えられる状態ということもありますので、間違いがないよう現場を確認させていただくことが必須です。
ただ、今回は張り替え可能かどうかの目安をご紹介させていただきます。
ご参考になれば幸いです。
1、段ボール襖、スチロール襖
襖の芯材が段ボールだったり発泡スチロールだったりする場合です。
いわゆる使い捨ての襖ですので、業者によっては張替えを受け付けていないこともあります。表面の状態が良ければ重ねて張ることで新しいふすま紙を張ることができますが、表面が破れているまたは傷んですぐに破れてしまうようならば、「張替えはできない」と考えた方が良いです。
いずれにしても張り替え可否の判断は業者が行いますので、張替えをするお店や業者にお問い合わせください。ただ、素材を考えると、ボロボロの場合は新調になる可能性の方が高いとお考え下さい。
2、和襖
和襖とは何か?については「和襖と戸襖の違いについて張替え職人が解説します!」の記事をご参考にしてください)
骨が折れている場合
中の骨組を修理してから紙を張ることは可能です。
但し、折れ方の程度によっては新調した方が良い場合もありますので、張替えをする業者にご相談ください。
穴が開いている
骨が折れていなければ、穴の部分を補修してから襖紙を張ります。
縁が傷んでいる
縁の色が剥げていても張替は可能です。剥げた部分を同色で塗る応急処置だけで見違えるようにきれいになります。
縁が折れている・えぐれている・欠けている場合は、縁を交換します。
3、戸襖
戸襖についても「和襖と戸襖の違いについて張替え職人が解説します!」の記事を参考にしてください。
ベニヤが剥がれている、穴が開いている
剥がれた部分、穴があいた部分を補修してから襖紙を張ります。
痛みがひどい場合にはベニヤ板を交換してから張り替えます。
ただ、そこまで傷んでいる場合には縁も傷んでいることが多いので新調をお勧めするケースもあります。
縁が傷んでいる
色が剥げている場合は、和襖と同様に同色で塗ってから張替えると見違えるようにきれいになります。
縁がえぐれたり欠けたりする場合は襖の新調となります。(和襖のような縁の交換ができません。)
剥がしてみないとわからない、戸襖の傷み
見た目にはきれいに見えても紙を剥がすと中のベニヤ板が傷んでいることがあります(剥がしてみないとわかりません)。
その場合には補修が必要になります。
和襖は縁を外して上下左右の面に糊付けして紙をはるので糊付け部分が縁に隠れて見えなくなりますが、戸襖は縁を外すことができないので見えている面に糊付けして紙を張るので糊付け部分が見えます。したがって表面が凸凹なところがあると、どんなにうまく張っても綺麗に仕上げることはできません。平らにできないような傷みが見られる場合は新調をお勧めすることになります。
まとめ
・電話のお問い合わせでは、張替え可能なのか新調かはわからない。
・段ボール・スチロール襖は、素材の特性から新調になる可能性が高い。
・和襖・戸襖は「どの部分がボロボロだと感じているのか?」と、「紙を剥がしてみないと中身の様子がわからない」という二点が重要なので、現場で確認して話し合いの中でどうするかを決める。
これらのポイントをふまえて、お問い合わせしてみてください。